***ハコニワエデン

 

支那(しな)、寝てるか
寝てる
そうか、じゃあ丁度いい
おいおい聞いてんのかよ、俺は寝てるんだって
ああ、だから僕の独り言だ
あっそ
明日から、部屋を分けて貰うことにした
はぁ、なんでだよ
寝てるんだろ、お前
うん、寝てる
なら返事するなよ
そんなに大きな声で話されたら、寝れるもんも寝れないだろうが
まあそれもそうだ
で、どうしてんな面倒なことすんだよ
おかしいだろ、いつまでも同じ部屋で寝るのは
別にいいんじゃねぇの、ソレ位
あのなあ、小学生ならともかく、中学になってもこのままは絶対におかしいだろ
じゃあまだ半年あるじゃん
小学校六年でも十分おかしい
お前はいいかもしれないけどさ、俺は困るんだよ
お前はいいかもしれないが、僕は困るんだ
部屋を分けるってことはあれだろ
ああ、今仕切りを取って二部屋繋げてあるのを一室ずつに戻すってことだ
困るだろ、普通に考えて
別に困ることは何もないさ
いいや、困る、部屋が狭くなる
僕の場合はむしろ広くなるんだよ
はぁ、頭おかしいんじゃねえの
一人部屋なら支那が散らかし放題にしないから、結果的に僕のスペースが広がるだろ
だ、だからって、明日からは早すぎるだろ
思い立ったら吉日、すぐに実行に移した方がいいだろ
ああーっ、可愛くねぇの
別に可愛いなんて思われたくないし、支那ならともかく、男の僕には何の不都合もないけど
うるさいうるさいうるさい、俺はもう寝る、話しかけるな
はいはい、部屋分けは予定通り明日実行だから
俺は寝てる、話しかけんな
……おやすみ
おやすみ


「闇夜に啼く、あの酉の様に。」より支那と五和のお話そのに。
子供のままではいられなくなってきた双子。
五和が捻くれていったのは、間違いなく支那がまっすぐすぎたからなのだろうけど。
初出:
2004.12.14日記 2005.2.20UP

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